舞踊評論家が日々思うこと


by mitsuko-t-sakurai

『白鳥の湖』

9日、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』を見てきた。
この日から27日までの、バレエにしたら異例の長期公演の初日。

マシュー・ボーンの『白鳥の湖』といえば、
白鳥を男性が踊る、革新的なバレエ。
以前の日本公演では、チケットが取れなくなるという騒ぎにも。
初演で主役を演じたアダム・クーパーは、「ときのひと」になっていた。

5年ぶりに見る舞台。
白鳥を男性が踊るという意外性、
実際の英国のロイヤルファミリーを題材にした独自のストーリーも、
やはり面白い。

でも、もっとも「凄いな」と思ったのは、
チャイコフスキーの音楽のイメージの幅広さ。
白鳥の可憐なイメージしかなかった、あの有名な旋律が、
白鳥の野性味、暴力性、残酷さを描き出す。
最初は、その意外性にウケるのだが、
そのうち、それがとても自然に聞こえてくる。
あの、クラシック・バレエの聖域にいるようなメロディが、
いかがわしいクラブでのダンス・ナンバーになる妙。

チャイコフスキーは、大衆的でメロドラマティックで、「女こどもの好むもの」
と思い込んでいる人(音楽評論家に意外に多いんですよね)は多いが、
そんな人にこそ、見て欲しいバレエです。
チャイコフスキーの音楽が,
いかに奥深くてミステリアスな魅力を持つのかがよくわかります。
場所は青山劇場.
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by mitsuko-t-sakurai | 2010-06-11 10:42