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舞踊評論家が日々思うこと


by mitsuko-t-sakurai

ロシア紀行8~レソザボツク5

5時開演。
この街に、こんなに人がいたの???
というほどの人。
小さい子どもから大人までいる。
何が始まるのかわかっていない雰囲気。
でも楽しそうに騒いでいる。

打ち合わせどおり、
アナウンスメントも何もないまま、
舞台には夫が一人、
座ってお辞儀をしている。
やがて「長唄 七福神」を踊り始める。。
客席の、ざわめきが、すーぅっと止む。
私は内心ほっと・・。
観客の集中力が高まってくるのがわかる。
7分ほどに縮めた曲が終わる。
再び、お辞儀。
ビックリするほどの拍手が沸き起こった。

そのまま舞台上の夫が話し始めた。
日本舞踊とは、という話。
お扇子一本で様々なもの、こと、を表現することができる、
と、言いながらお扇子で、花や山を表現する。

「では、これは何でしょう?」
クイズ形式になると客席は俄然熱気を帯びてきた。
風、雪、雨。当然ながら日本の風景。
「ロシアの雪は、そんなじゃないよ」
比較文化の実習のようだ。
「最後に、これは?」
扇子をお銚子に見立て、お猪口に酒を注ぎ、
一気に飲んで、酔っ払う・・
会場が爆笑。
「酔っ払い!」「お酒!」

「日本舞踊は男性でも女性役になるし、
女性でも男性役になります」
そうして、男性の踊り「供奴」と
女性の踊り「藤娘」を続けて踊る。
盛り上がっていた場内が再びシーンとなる。
そこで体験レッスン。
「男性の踊りを踊りたい人は舞台に上がって!」
小さい子供達がわれ先にと舞台に上がる。
では、「供奴」の足拍子。
可愛い女の子もリズミカルに踏んでいる。
次には生徒(?)を入れ替えて「藤娘」。
日焼けした少年が、柔らかな動きで熱演!
(ロシアの少年は可愛い!)
あっという間に2時間が過ぎた。

終演後、妙齢のご婦人方が
カメラとサイン用のペンを手に待機。
いったいこの町に、そんな綺麗な服を
置いているブティックがどこにあったのだろう?
と、私は俗なことも考えながら、
婦人方にインタビュー。
どなたも日本舞踊を見るのは初めて。
「でも、ずっと日本文学は好きなんです。
川端康成も村上春樹も。
日本映画も見ました。クロサワもキタノも。
日本には行ったことがありません。
今日、初めて日本の空気に触れることが
出来ました。ありがとうございました」
うーん、来て良かった!!!

続く
by mitsuko-t-sakurai | 2010-10-06 19:54