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舞踊評論家が日々思うこと


by mitsuko-t-sakurai

感動は与えるものなのか

ずっと前から気になっていたけど、
震災後、もっと気になりだした言葉がある。

「感動を与えたいです」
「感動を与えられるダンサーになりたいです」
「感動して頂ける演技ができたら・・・」
「感動してもらえるような作品をつくりたい」

芸術家やアスリートがインタビューでよくこう答えている。
でも、「感動」って与えるもの?
「感動」は与えられるものであって、与えるものじゃないと思う。
感動を「元気」に変えても同じ。

感動を与えようとする演技にしろ作品には、
なんか、押し売り感や、あざとさを感じる。

感動したから感動を与えたい、という気持ちは素直。
だから10代前半のジュニアが言うのはいい。
バレリーナを目指す少女がいうのはいい。

だけど、プロのダンサーや世界を目指しているアスリートに、
「感動を与えたい」なんていわれると、
「そんな余裕があっていいの??」と思ってしまう。

私が尊敬するダンサーやアーティストの口から、
この言葉は聞かない。
真摯に何かに打ち込んでいる人は、
それで完結しているんだと思う。

最近では、体操の内村航平氏が、
全日本優勝時のインタビューで、
淡々とやるだけです(私の超訳)みたいなことを言ってた。
やはり凄い人だと思いました。
by mitsuko-t-sakurai | 2011-04-30 16:18